モルモン教をどう見るか 第三の視点をさぐる(沼野治郎)【せせらぎ出版】|アットマーククリエイト|電子書籍

モルモン教をどう見るか 第三の視点をさぐる【せせらぎ出版】(沼野治郎)

モルモン教の理解のために

モルモン教をどう見るか
第三の視点をさぐる

出版社:せせらぎ出版

著 者:沼野 治郎(ぬまの じろう)

ジャンル

哲学・思想/宗教/文化史・文化論

キーワード

モルモン教/宗教/キリスト教

閲覧タイプ

フィックス(固定)

主な販売サイト


内容紹介

モルモン教会は日本でもキリスト教界においても異端視され、アメリカのキリスト教系新興の宗教と受けとめられている以外、よく理解されていない。 本書を書く目的は、…いわゆるモルモン教会の理解が深まるよう資料を提供することである。それは一つの宗教として教会自身が主張している教義体系などを紹介し、次にそれをできるだけ中立的に、また批判的に分析・説明を試みることである。……護教的でも反モルモン的でもない学問的研究の実り豊かな現状の紹介を心がけて取り組んだ。(「はじめに」より)

「モルモン教」について日本語で書かれた書物は少ない。あっても、布教目的か、反感に満ちた不公平なものが多い。アメリカでは、「モルモン教」は創始から約180年を経て、今や信徒として第五~第六世代目を迎える家族もいて、生活も安定し、彼らの中からも元信徒の中からも、学術的に優れた研究者・歴史家が多く育っている。古文書的な資料はよく保存されている。「モルモン教」ではなんと、先祖の系図調べとその死せる先祖への「代理洗礼」とが、信仰実践の一部なのである。(ユダヤ人やヒットラーにまで「代理洗礼」を行おうとするボランティアがいて、教会側は慌てているようであるが。)日本の戦中派が、自分たちを裏切ったと思われる天皇制の背景としての古代史に興味があるように、アメリカでも「モルモン教神話」の背景に対する知的関心は高い。さまざまな研究手法で(コンピューターによる聖典言語の解析も含め)分析されている。また、ロムニーの登場を契機に、「政治権力とモルモン教」「大統領を目指したモルモン教徒たち」等のテーマの研究も盛んである。そしてもちろん、外部からの揚げ足取り的な書物・映画・テレビ、そしてネット交信も花盛りである。さて、日本人・沼野治郎氏による本書『モルモン教をどう見るか』は、以上の観点からも、まことに待望された書物である。氏は、1958年に16歳で関西で「モルモン教」に入信・受洗されたとのことであるが、真摯な信徒であり続けるとともに、ブリガムヤング大学を卒業後、日本で大学の先生として「モルモン教」関係史を、学術的に極めて深く研究しておられ、かつ、日本の「モルモン教徒」の実情にも通じておられる。本書は、氏のライフワークとも呼べる力作である。「モルモン教」のさまざまな側面について多様な論文を読み解き、公平に解説しておられる。ご自分の論文も紹介しておられる。もし読者の中に、伝道者からではなく研究者から「モルモン教」について公平に詳しく聞きたいという方がおられた場合、本書は絶好の書である。大学の教養課程の「アメリカの文化・宗教・社会・政治」などの分野の授業で、教科書の一環として使用したり、卒業論文用に参照したりすることのできる、信頼のおける書籍である。(「序文」より)

〈目 次〉

  • 序文
  • はじめに
  • 第Ⅰ部 末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)の登場
    • 第1章 モルモン教の登場した時代背景
    • 第2章 ジョセフ・スミスの少年時代
    • 第3章 神の顕現とそれに続く示現
    • 第4章 モルモン書
      • 1 モルモン書の翻訳
      • 2 モルモン書のあらすじ
      • 3 モルモン書の評価・分析
      • 4 モルモン書をどう見るか、結語
    • 第5章 教会の創設
    • 第6章 教会初期から現代に到る歴史
      • 1 ニューヨーク州フェイエット
      • 2 オハイオ州カートランド
      • 3 ミズーリ州ジャクソン郡インディペンデンス
      • 4 イリノイ州ノーブー
      • 5 ユタ州ソルトレークシティ
  • 第Ⅱ部 モルモン教はキリスト教であるのか?
    • 第7章 キリスト教であるのか。カルト視される理由
    • 第8章 モルモン教会の特徴
      • 1 三つの類型とモルモン教
      • 2 スタークによるモルモン教会の特徴
      • 3 典型的なモルモン教徒の人物像
      • 4 外部の評価―インターネットの書き込みから
      • 5 聖書から生起・発展した教義上の特徴
    • 第9章 神殿の儀式「エンダウメント」
    • 第10章 一夫多妻制度の発生と終了
      • 1 ジョセフ・スミスの多妻
      • 2 ジョセフ・スミスが一夫多妻を始めた理由
      • 3 1890年の公式宣言とその後
      • 4 末日聖徒は一夫多妻を克服できるか―ユージン・イングランドの提言
    • 第11章 黒人に神権が拒まれていたこと
    • 第12章 マウンテン・メドーズの虐殺
    • 第13章 教会の資金力に対する疑問
    • 第14章 モルモン教会が現在直面する問題
  • 第Ⅲ部 日本におけるモルモン教会
    • 第15章 日本への布教
    • 第16章 日本におけるモルモン教の歴史
      • 1 1901~1924 明治・大正期 [不首尾な結果]
      • 2 1925~1947 戦争をはさむ昭和初期 [伝道部閉鎖]
      • 3 1948~1967 昭和中期 [伝道部再開・成長期]
      • 4 1968~1980 昭和中期 [発展期]
      • 5 1981~今日 昭和後期・平成時代 [安定・成熟期]
    • 第17章 日常の礼拝様式と信仰生活
      • 1 礼拝
      • 2 信仰生活
    • 第18章 日本のモルモン教会の特徴
    • 第19章 日本のモルモン教会が現在直面する問題
  • おわりに
  • 補足資料
  • 参考文献
  • 索引

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